気がつくともうすぐ感謝祭。年の暮れも迫ってきています。地球上のほかの地域の例にもれず、ハワイでも大雨が降ったり乾燥日が続いたり、気候が極端に変動する1年でしたが、当農園のウルの樹たちは今年も元氣にたくさんの実をつけてくれました。
ウルは英語でブレッド・フルーツ(パンの実)と呼ばれる、高い樹になる実で、ハワイを始めとする太平洋の島々、南アジア、カリブ海など赤道に近い地域で栄養価の高い穀物として古くから食されて来ました。
中身はお芋に似たでんぷん質で重要なエネルギー源になる一方、食物繊維、炭水化物、たんぱく質が米や芋より多く摂取でき、果物や野菜のようにビタミンA&B、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄分などが豊富に含まれ、さらにはルテインやベータカロテンなど生活習慣病を予防する栄養素も多く摂れるので、「トロピカル・スーパーフード」と呼ぶ人もいます。(参照:ハワイ・ウル協同組合提供Nutritional Benefits of ‘Ulu )
ウルは常緑樹。肥料を与えなくても亜熱帯の温暖で雨が多い気候ですくすく育ってくれます。自然の力で何十年にもわたり実を収穫できるので、いわば「古代から伝わるサステナブル農業」の代表選手として、ハワイではここ数年がぜん注目を浴びるようになってきました。
当園では毎年夏から冬にかけてたくさんの実をつけます。1本あたりの産出量は気候やウルの種類、樹の年齢やコンディションなどによって異なりますが、太平洋諸島のウルの生産量を平均すると1本の樹から150~200個もの実を収穫できるそうです。(出典:Species Profiles for Pacific Island Agroforestry/ www.traditionaltree.org)
その成熟度合いによって料理法はさまざま。外側を白い乳液(latex)が流れ落ち始めるのが成熟した合図ですが、皮の表面が緑色のうちは中身がまだ固いので、薄くスライスしてチップスやサラダ、ピクルスにしてコリコリした歯ざわりを楽しみます。
皮が黄緑色になったころからがウルの真骨頂。包丁を入れやすくなり、ポテトのように茹でたり焼いたり煮たり揚げたりと、さまざまな料理で活躍します。収穫後しばらく放置すると外側が茶色になり完熟を知らせます。中身はクリーミーでとても甘くなるので、我が家ではそのままフードプロセッサにかけてノンシュガー・パンケーキを焼きます。先日の秋分祭イベントで、当農園スタッフのマットが完熟ウルとココナッツクリームで作ったウルアイスクリームは、ヘルスコンシャスな女子たちに大人気でした。
さて、今年の感謝祭は、ウィリアムズバナナもちょうど食べごろに実ってきたので、ウルクリームとミックスした「セカンドネイチャー・パイ」でも焼いてみようかな。