この植物は何だと思いますか?
答えはマホイ(Mahoi)という種類のバナナの木の子供です。3週間ほど前にGaryが20センチ程度の苗を植えたばかりでしたが、今日ファームでチェックしたところ約三倍以上に成長していました。
一年中日差しが強いハワイですが、とくに夏には植物の葉が勢いよく伸びて農園じゅうを鮮やかな緑色に染め、太陽光をキラキラ反射させる光のショーを展開します。大きな葉を風に揺らしながら多彩な緑色のグラデーションで人の目を楽しませてくれる当農園植物の代表選手が、ウル(ブレッドフルーツ)、アボカド、ターメリック、そしてバナナです。
「バナナの木」といってもその正体は、多年草の葉が何枚も重なり合って茎のように見える「儀茎(ぎけい)」が大きく成長したもの。つまり正確に言うとバナナは木の実ではなく、草の実なのです。が、ここでは便宜上「木」と呼ぶことにします。
バナナの木は一生に一度しか実をつけないため、役目を終えた木は切り倒されます。しかし、倒れた木の横では同じ株から生まれた新芽が頭を出し、その芽が9カ月から1年もたつとまた大きなバナナの木に育ちます。こうした自然の営みで生命が受け継がれ、手軽に食べられて美味しく、しかも栄養豊富なバナナの実をいわば永続的に楽しませてもらえるのです。
バナナは比較的安価な果物でありながら、体内の塩分を排出しむくみや高血圧の改善が期待できるカリウムをはじめ、疲労回復に役立つビタミンB群、抗酸化作用を持つポリフェノール、エネルギー源となる糖質、骨や筋肉の健康維持に欠かせないマグネシウム、そして便通を整える食物繊維などが豊富に含まれています。さらにはご飯やパンに比べて低カロリーなので、生活習慣病対策に役立つ果物として、近年また注目されています。(参考:https://www.healthline.com/nutrition/11-proven-benefits-of-bananas)
温暖で湿度が高く日当たりがよい熱帯・亜熱帯気候でよく育つバナナは、ハワイの気候や自然栽培に適しているのですが、オアフ島のスーパーマーケットの安価セール商品ラベルを見ると、低賃金労働で大量生産される中南米産が多いことに気がつきます。今年から高騰する輸入関税、輸送による燃料費上乗せや環境被害も考慮すると、これからはハワイ産のバナナがもっと地元の人たちに見直されるのではないでしょうか。
私たちの農園では現在、甘酸っぱい味が人気のアップルバナナと、可食部が長く蜜が多いのでスムージーやスウィーツの材料としても重宝するウィリアムズ、実が太く火を通すと甘さと香りが増し肉料理の副菜にも使われるブルロー、そして冒頭のマホイなど、7種類のバナナの木が育っています。



何十何百種類を大量に栽培するバナナ専門農園と違い、当農園のバナナたちはウルやアボカドの木たちと自然共生しながら育っているので、緑の葉が織りなす木のテントの間をよく目を凝らして探さなければ、初めて訪れる人にはどれがどの種類のバナナかなど見分けがつきにくいでしょう。ご興味のある方は当農園のボランティアや会員になって、それぞれの木を育て、収穫し、ぜひ食べ比べてみませんか。



さて、先日植えたばかりのマホイ(トップ写真)に話を戻します。mahoiはハワイ語で「双子」とか「ダブル」を意味するそうで、小型の木に二つ以上の大きな房がなるのでこう呼ばれています。この品種はハワイで通称「マホイ」と呼ばれていますが、正式名は “Double Mahoi” というそうです。季節イベントなどで当農園に来られるときには、このマホイ・バナナがどこまで育っているか、ぜひ観察してみてください。
