先週水曜日から金曜日朝にかけてオアフ島を襲った大嵐は、一部地域を停電にし、飛行機の発着陸を延期させ、民家や高速道路脇の樹をなぎ倒し、やっと通り過ぎていきました。翌日ホノルルやウィンドワード地域の街のあちこちで大掃除が見られ、洪水で流れた大量のごみが街の運河に積み上げられていましたが、大きな死傷事故もなく、やれやれ、です。
私たちのように島の風上ウィンドワード地帯で農業を営むファーマーたちはとくに、暴風・大雨・洪水にはことのほか注意をし、刻々と変化する自然と向き合わなければなりません。
今回Garyが異変に気付いたのは嵐の上陸より二日も前の月曜日。天気予報で今週末にかけて大嵐が来るとは聞いていましたが、すでに雨の量が異常に増えていることをコオラウ山が教えてくました。冒頭の左上の写真は夫のGaryが農園内から撮影したもの。カイルアの自宅で在宅仕事をしていた私の元に、左下の写真とあわせて「Wet!」というテキストが送られて来ました。
ご覧のように山並みがたちまち不気味な雨雲に覆われた時、Garyは洪水に備えて森から流れて来る雨水を小川に逃がす緊急の灌漑を行っていました。が、次第に雨の量が増え始め、普段は光と影の美しいコントラストを見せている緑の稜線が突然、大滝に変身したのだそうです。平地への雨足がまだ強くならないうちに、Garyは大急ぎでできうる限りの対策を施しました。
この翌々日以降、大きな雷を伴う豪雨と強風が3日間続き、緊急洪水警報が携帯電話で何度も鳴り響きました。農園は大丈夫だろうかと心配しましたが、長年森を守ってきた樹々が強風を遮ってくれたことに加え、夫のGaryが農園内に非常用の水路を作り緊急灌漑を施していたおかげで鶏小屋も野菜たちも、吹き飛ばされることも流されることもありませんでした。
太平洋の中央に浮かぶ小さな島々の住民にとっては、雨期にあたる11月から2月くらいまでと、ハリケーンシーズンの8月から9月にかけて、暴風・大雨・洪水警報は年中行事になっています。といっても嵐も被害も毎年異なり、慣れることなどありません。そのたびに自然の脅威を肌で痛感し、嵐が去った後は無事に生かされたことに心から感謝をし、きれいに晴れ上がった空を仰ぎ手を合わせているのです。
(写真は無事に生き延びた畑の野菜や花々)