4月に入り、ようやく快晴の暖かな週末を迎えたと思ったのもつかの間、今週末もまた大雨注意報が出されています。今年のハワイの雨季は例年以上に長く気温も低く感じています。特に3月は大型コナ低気圧がたて続けにハワイ諸島を覆った影響で二週間以上にわたる大雨が続き、洪水警報も頻発されました。
毎年雨季が終わる2-3月頃のハワイの雨量は多いのですが、今年の大雨は20年ぶりという記録的なものでした。報道によると、3月のハワイの総雨量は2兆ガロンを超え、これはオリンピック・サイズのプール3百万個分に相当するそうです。
特にマウイ島やオアフ島ノースショアの農村地帯の豪雨被害は甚大で、今も復興の見通しが立っていない農家がたくさんおられます。なんとお見舞い申し上げてよいか言葉を失ってしまいます。この被害報道を見たたくさんの方々から、セカンドネイチャーファームは大丈夫かと問い合わせをいただきました。ご心配いただきどうも有難うございます。私たちの農園でも一部の野菜や花の木が雨に倒されたりしましたが、被害は小さなものでした。

コナ低気圧が去った翌日当農園に行ってみたところ、小川の水流はいつもより激しく土もかなりぬかるんでいました。しかしタロ水田も鶏小屋も大事なく、春の花々が農園一帯にかぐわしい香りを放っていました。見上げれば山の峰からあふれた水が流れ落ち山肌に細い滝のような白い筋を20本ほど見せています。この「滝」はよほどの雨量がないと現れません。めったに見ることができないその幻想的景色を仰ぎ見ながら、今回もまたコオラウ山と森が守ってくれたのだ、と手を合わせて感謝しました。

そして大嵐が去った3月28日の土曜日、悪天候のため延期した「春分祭」を開催しました。日にちが変更になり参加できなくなった人々も少なくありませんでしたが、新しい顔ぶれも加わり、大嵐を乗り越えた森の樹々や花々を愛でながら農園内を散策、タロ水田周りの雑草刈り、そしておなじみの美味しく楽しいポットラックランチョン…と、とても和やかで心温まる集いとなりました。



そして、新しく参加された方が多かったので、この森林自然農園が古くから伝わる農法を参考にしていることも共有させていただきました。


First experience in weeding at taro field
かつてハワイでは島の中心にそびえる山を中心にピザやケーキを切り分けるように山から海へつながるいくつかの地域に分け、各分割区をMoku(モク)と名付けて統治していました。そのMokuごとに、山に落ちる雨が岩や土の深層でろ過され森や農地を潤し、健康な土壌を通った滋養ある水が川へ、そして海と流れる自然の水路が自然生態系の循環を守り、山林、農村、漁村で暮らす人々の生活も支えていました。
この山と海とを自然が繋げる仕組みはAhupu’a(アフプア)と呼ばれていましたが、近代化とともに欧米型開発、生活習慣、食文化が普及し、山と海と人々の生活との間の連繋が分断されてしまいました。その一方で、各島に古くから続く農村地帯では近年、新しい世代の間でアフプアを復興させようとする運動も広がりつつあります。

しかし山と海を繋げる自然に沿った生き方を再構築しようとする動きは、決してハワイ特有のものではありません。昔から山と海に囲まれた土地ではどこも生態系を守ることが山海の恵みや人々の健康と幸福と結びついていました。現代文明と経済優先の開発によって分断された自然の繋がりを取り戻そうと、例えば日本でも東北地方のカキ養殖漁師・故畠山重篤さんが「山は海の恋人」と提唱して植林運動を広めたように、その循環を復興させようとする地道な動きは世界各地で増えています。

今回のような大雨・大洪水の被害を最小限に防ぐためにも、人間が自然を支配するのではなく、自然に従って人間は生かされる、そんな生き方を私たちも小さなこの農園で伝えていきたい。ささやかでも未来への希望を繋げたいと、そんな話を新しく参加された方々としながら、当農園を次の世代に継承していく決意を新たにしたのでした。

(Photos courtesy of Seiju Nakai and Chihiro Kitagawa)

